2008/11/10

歌舞伎を観た

今日、歌舞伎を観に行った。
たぶん、ちゃんと歌舞伎を観るのは、初めてだと思う。

江戸川乱歩の「人間豹」が原作で、「江戸宵闇妖鈎爪」ってやつ。
主演が、市川染五郎、松本幸四郎の親子共演。

江戸川乱歩原作ってとこで、かなり私好みなうえ、
市川染五郎、松本幸四郎の親子共演ときたから、
もう観てみたくて、好奇心が止まらなかったので、観に行ってみた。
しかも、女形で前々から気になってた春猿が出てるなんて!

。。。ら!!
よかったよー!!!観に行ってよかった!
わかりやすくて楽しかった。
彼らの演技が、細かなところまで神経が行き渡ってて目が離せなかった。

特に女形の春猿なんて、3役もやってたんだけど、
どの役も、全く違う女性に見えて、とても美しかった。
彼の演じる女性は、女性よりも色っぽくて、しなやかで
確信犯的な美しさがあった。
着物の着こなし、髪の毛の乱れ具合、首をちょっと曲げてる仕草、
指の動き、声の出し方、、、。どれをとっても確信的だった。
演技がものすごく魅力的だったので、目が離せなかった。
ずっと、彼の演技を観ていたかった。

そして、着物の華やかで美しいこと!
赤と青紫の着物、金が織り込まれた着物、淡い色の着物、、。
日本の美って素敵だなぁ、とつくづく思った。

市川染五郎も、色男のヤサ男っぷりがハマり役だった。
人間豹と、2役やっていてこちらも見事!
紅い舌が、ぞぞぞ〜っときて、たまらなかった。
たまに出す裏返り気味の声が、色っぽくてたまらなく好きだな。

幸四郎さんは、どしりとしてて安定した演技だったけど、
意外と印象に残っていない。。

老婆役の方は、もう次元が違う生き物のようになっていて
すごい存在感を放ってた。

みんな私と同じ人間なのに、舞台の、あの特殊な空間の中で
演技すると、全く現世の人々ではない異様さを放っていて
圧巻だった。
やっぱり生は違うなぁと、つくづく思った。
彼らの本気っぷりが、ヒシヒシと伝わってきた。
テレビ画面じゃ、あのすごさは伝わらないよ、やっぱし。
そこまでやってくれちゃうんだ!と、期待を裏切らずに
ドロドロしたところを、どんどん突っ込んでやってのけちゃうのも
たまらなくよかった。

そして、花びらが一枚、はらはらはら、、、と落ちてくるだけで
空間の空気が変わっちゃうんだから、すごい。

また、場面転換で舞台が大掛かりに変わっていくのが、
見物だった。おおきなカラクリを見ているようだった。
あ、あれこそカラクリか?
花道を行ったり来たりと、演技して通ってたのも、
歌舞伎独特で、おもろかった。

歌舞伎の世界は、何もかもが非日常のことだったから、
新鮮で楽しめた。
そして、演技が終わった後のお客の素早い
退散っぷりが、また潔くてよかった。

歌舞伎は、みんなが楽しんで観に来てて、
娯楽感たっぷりで、素敵だな〜。

あぁやっぱ、いちばん印象的だったのは、春猿の女役だったなぁ。

また観に行きたいな。